2013 – 2014

Rock, Paper, Scissors

Project Outline

日系カナダ人アーティストのシンディ・望月が、カナダ在住キュレーター原万希子とともに2014年以降3度にわたり米子を訪れリサーチし制作したマルチメディア・インスタレーション作品〈Rock, Paper, Scissors /石 紙 鋏〉を、4年の歳月を経て2018年に作品が生まれた米子の地で国際巡回展(※)として発表しました。

作品のテーマは、20 世紀初頭に弓ケ浜半島からカナダに渡った開拓移民と、汽水湖「中海(なかうみ)」に浮かぶ無人島「萱島(かやしま)」に戦前あった料亭「たつみ」。物語の主人公「K」の視点を通じ、1900 年から2100 年までの日本とカナダで、登場人物たちの人生が時空を超えて影響しあうさまを描きました。

2018年の展示では併せて、この作品を生み出す一連のプロジェクトの中で、私たちが出会い、心に留め、今回の作品のアイディアに繋げることとなった様々な資料を紹介するオープン・アーカイブ・ルームも設けました。埋もれゆく市井の人々の過去・歴史について思いを巡らす機会を生みました。


4年間にわたる制作過程の中で作品の元となる史実に関わる多くの人々との出会いが生まれたことも、このプロジェクトの大きな成果となりました。

※この作品は「鳥取藝住祭(2014-2015)」の参加プログラムとして2014 年に望月が米子市で制作・発表した〈Paper /紙〉に、その後のカナダにおけるリサーチや2016 年の米子再訪調査をもとに創られた〈Rock /石〉と〈Scissors /鋏〉の章が加わり、3 部作として2017 年春にカナダの日系博物館・文化センター(Nikkei National Museum &Cultural Centre)にて展示・発表されました。

2014

【滞在期間】8月5日~8月11日  10月10日~10月20日
【成果発表】10月17〜19、25、26、31日、11月1〜3日
【パブリック・プログラム】10月13日 プレイベント「米子とカナダの深い関わり」
10月18日 ワークショップ「みんなで森をつくろう−クレイアニメーションをつくる」

2016

【滞在期間】8月20日〜8月29日
【パブリック・プログラム】8月23〜27日 ワークショップ「第三の眼」

2018(2017年度)

【滞在期間】2月15日〜3月5日
【成果発表】2月25日〜3月11日
【パブリック・プログラム】2月25日 アーティスト&キュレーターによるギャラリートーク
3月3日 シンポジウム「海を越えてカナダと繋がる山陰地方の歴史と風土を巡って」
3月4日 米子の記憶を語り聴く会「中海と弓ヶ浜半島の昔ばなし」
3月10日 見える人と見えない人が一緒に楽しむ鑑賞ワークショップ

Artist Profile

Cindy Mochizuki

アーティスト
カナダ、バンクーバー在住。インスタレーション、パフォーマンス、アニメーション、ドローイング等を複数組み合わせたジャンル横断的な作品を制作。実在する場所や人の記憶と、実験的な物語性の構造を追求する彼女の作品は、しばしばフィクションとドキュメンタリーの間に位置付けられる。日本での展示は、鳥取藝住祭AIR475(2014,米子)、黄金町バザールー仮想のコミュニティ・アジア(2014,横浜)、AIR475 (2016,2017米子)、大山アニメーションプロジェクト(2017)などのレジデンスプログラム参加や、若山美術館での個展〈105本の菊の花〉(2016,東京)など。サイモン・フレーザー大学大学院修了、2015年には映像アート&ニューメディア部門でのバンクーバー市長アート賞を受賞。
cindymochizuki.com

Curator Profile

Makiko Hara

キュレーター
カナダ、バンクーバー在住。2007年に国際現代アジアアートセンター、CentreAのチーフキュレーター就任を機にカナダに移住、2013年に独立。90年代よりカナダとアジアを繋ぐアートプロジェクトを数多く手がける。最近の主な業績は、スコシアバンク・ヌイ・ブロンシュ(2009,トロント)、鳥取藝住祭AIR475(2014-2015,米子)、黄金町バザールー仮想のコミュニティ・アジア(2014,横浜)、マッシュアップ:近代文化の誕生展(バンクーバー・アート・ギャラリー、2016)、AIR475(2016,米子)、105本の菊の花(若山美術館,2016,東京)など。2017年より秋田公立美術大学国際交流センターアドバイザーに就任。

Photo Gallery